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アーサー王伝説


イギリスにアーサー王伝説というものがあります。

アーサー王(King Arthur)はもともとケルト(※)人で、5~6世紀ごろ活躍したといわれる伝説上の王です。「これを引き抜いた者は生まれながらにして英国全土の王である」と記された鉄床(かなとこ)(または岩)に刺さった剣を、屈強な騎士が誰一人として引き抜くことができないのに、アーサー少年がいとも簡単に引き抜き、王となっていく物語は、どこかで見聞きされたことがあるかもしれません。

アーサー王が実在したかどうかは不明で、その支配地域も英国南西部とするものから西欧アルプスまでとするものまであります。確たる証拠がないために、あとからどんどんエピソードがくっつけられ、壮大な物語になっていったようです。その全貌を知るのは至難とも思えますが、この物語にはいろいろなキャラクターやグッズが登場します。代表的なものとしては...

マーリン(Marlin): アーサー王の誕生から王国支配にいたるまであらゆることにかかわり、王に助言や超自然的な力を与えたといわれる魔術師。

円卓の騎士(the Knights of the Round Table): アーサー王の忠臣の騎士。円卓(中華料理店の丸テーブルのようなもの)に座ったことからそのように呼ばる。人数は12人ともそれ以上とも。なかでも最も勇敢・高貴といわれたラーンスロット(Sir Launcelot)と、アーサー王の妃グネビア(Queen Guinevere)とのエピソードは「トリスタンとイゾルデ」にも重なる。トリスタン(Sir Tristan)も円卓の騎士の一人。

エクスカリバー(Excalibur): アーサー王が湖の精(the Lady of the Lake)から授かった剣。数々の戦いで勝利をもたらし、その鞘(さや)を持っていると斬られても血が出ないといわれた(剣より鞘のほうに値打ちがあった)。金床の剣とは別物。

聖杯(the Holy Grail): キリストが最後の晩餐で使った水差しで、病気を治すなどの奇蹟を起こすとされる。イギリスのグラストンベリーへ持ち出されたといわれ、アーサー王の求めにより円卓の騎士たちが探し回った。映画「インディージョーンズ」にも登場。

アバロン(Avalon): 身内の裏切りによって殺されたアーサー王が埋葬されているところ。英国のウェールズにあるとも、西方海上にある島(もちろん想像上の)のことだともいわれる。ロキシーミュージックのアルバムのタイトル。アーサー王はアバロンに葬られたのではなく、傷を癒しに行っただけだ、とする説も。...ということでアーサー王の物語は謎につつまれていくのであります。

さて、これらがヨットとどう関係するかというと、アメリカズカップのトロフィーのことを、Holy Grail と呼ぶことがあるのです。

※ アイルランド、スコットランドから英国南西部、フランスのブルターニュあたり

2008年12月3日 西野・記


ティンタージェル城 バージー島
ティンタージェル城 (英国コーンウォール州、2000年4月)
魔術師マーリンの策略によりアーサー王が生まれたとされる場所。見えている城塞はアーサー王の時代よりずっと後に建てられたもの。[画像クリックで拡大]
バージー島 (英国ウェールズ、1999年8月)
魔術師マーリンが住んでいた、そして今でも住んでいるといわれる島。[画像クリックで拡大]
セントマイケルマウント セントマイケルマウント
セント・マイケル・マウント (英国コーンウォール州、2000年4月)
「円卓」があったとされる場所の一つ。フランスのモン・サン・ミッシェルに似ているが、それとは別。[画像クリックで拡大]
同左
ペンザンスからの眺め。[画像クリックで拡大]
ドズマリープール エクスカリバー
ドズマリー・プール (Dozmary Pool、英国コーンウォール州、2000年4月)
アーサー王が湖の精から聖剣エクスカリバーを授かったとされるところ。場所は地図の中央のやや丸い池。[画像クリックで拡大]
エクスカリバー (米国ラスベガス、2001年4月)
こちらはラスベガスにあるホテル&カジノ。中世の騎士がドラゴンと闘うショーをやっていた。[画像クリックで拡大]



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